今回はBigCommerceについて解説します。
目次
BigCommerceとは
BigCommerceは、ECサイト(Webショップ)作成プラットフォームをSaaSで提供しています。
2020年9月30日現在、約150か国の業界で約60,000のオンラインストアにサービスを提供しています。
提供サービス
ECサイトの設計、注文管理、会計、配送など、ECサイトをクラウド上で作成するためのプラットフォームを提供しています。
実際にBigCommerceに登録し、デモサイトを動かすと以下のようになります。
また、以下のようにクラウド上で商品の登録ができます。
自社のECサイト以外でも、マーケットプレイス、オフラインストア、ソーシャルネットワークなど複数の販売チャネルで商品を販売できます。
ビジネスモデル
以下のサービスを提供して収益を獲得しています。
- サブスクリプション
- 戦略的テクノロジーパートナー
- 非定期のプロフェッショナルサービス
サブスクリプション
サブスクリプションの収益は、以下で構成されています。
- ECサイト作成プラットフォームのサブスクリプション
- 定期的なプロフェッショナルサービス
- SSL証明書の販売
ECサイト作成プラットフォームのサブスクリプションには、顧客のニーズ(価格・機能・サービスレベル)に応じて以下のプランが用意されています。
- Enterpriseプラン:年間オンライン売上高が100万ドル以上の顧客向け
- Standard、Plus、Pro:スモールビジネス(SMB)向け
戦略的テクノロジーパートナー
テクノロジーパートナーのエコシステムから、収益分配(レベニューシェア)の契約などに基づいて収益を獲得しています。
エコシステムとは
さまざまな業界の企業が連携して技術や知見を共有することで、より大きな収益構造を構築すること。
顧客は、戦略的テクノロジーパートナーによって開発されたアプリケーションを統合することにより、よりニーズを満たすECサイトを作成できます。
戦略的技術パートナーとは、通常1年以上の契約を締結しています。
600以上の独立したパートナーと15の主要カテゴリ(以下参照)によって構築されたエコシステムは、BigCommerceのネイティブ製品の強みを補完する幅広い機能を提供します。
- 支払い、セキュリティ
- 会計、税務、ERP
- 分析、レポート
- CRM、カスタマーサービス
- 配送、フルフィルメントサービス
- B2B(企業間取引)、卸売
- マーケティング、マーチャンダイジング、パーソナライズ機能
- チャネル販売:マーケットプレイス(Amazon, eBay)、SNS(Facebook, Instagram)、POSシステム(Square, Clover, Vend)、検索エンジン、広告
非定期のプロフェッショナルサービス
以下のサービスを提供して収益を獲得しています。
- 教育パッケージ
- 立ち上げサービス
- ソリューションアーキテクト
- 導入コンサルティング
- カタログ転送サービス
参入マーケット
出典:sec.gov
「eコマースプラットフォーム」と呼ばれる世界のデジタルコマースアプリケーション市場に参入しています。
2019年の市場規模は47億ドルでした。
また、11%の年平均成長率(CAGR)で成長しながら2024年には78億ドルに達すると予測されています。
BigCommerceの主な競合他社は以下となります。
- Shopify
- WooCommerce
- Magento
- Demandware
BigCommerceの業績
BigCommerceの業績を紹介します。
2019、2020年度の9ヶ月間の業績
2019、2020年度の9月間(1/1〜9/30)のそれぞれの業績を紹介します。
売上高
売上高は次の通りです。
2019年(9ヶ月間) | 2020年(9ヶ月間) |
8,108.3万ドル |
1億922.5万ドル |
粗利益
粗利益(Gross profit)は次の通りです。
2019年(9ヶ月間) | 2020年(9ヶ月間) |
6,212.5万ドル |
8,531.5万ドル |
粗利益マージン(Gross margin)は次の通りです。
2019年(9ヶ月間) | 2020年(9ヶ月間) |
76.6% | 78.1% |
営業利益
営業利益は次の通りです。
2019年(9ヶ月間) | 2020年(9ヶ月間) |
-3,123.0万ドル |
-2,489.3万ドル |
純利益
純利益(Net loss attributable to common stockholders)は次の通りです。
2019年(9ヶ月間) | 2020年(9ヶ月間) |
-3,771.5万ドル |
-2,432.1万ドル |
EPS
EPSは次の通りです。
2019年(9ヶ月間) | 2020年(9ヶ月間) |
-2.13ドル | -0.83ドル |
キャッシュフロー
キャッシュフローは次の通りです。
項目 | 2019年(9ヶ月間) | 2020年(9ヶ月間) |
営業キャッシュフロー | -3,111.1万ドル |
-2,320.0万ドル |
投資キャッシュフロー | 1,812.4万ドル | -137.8万ドル |
財務キャッシュフロー | 752.5万ドル | 1億9,540.7万ドル |
営業キャッシュフローマージンは次の通りです。
2019年(9ヶ月間) | 2020年(9ヶ月間) |
-38.3% | -21.2% |
四半期ごとの業績
四半期ごとの業績の推移を紹介します。
売上高・粗利益
売上高(Revenue)、粗利益(Gross profit)の推移は次の通りです。
営業利益・純利益
営業利益(Loss from operations)、純利益(Net loss)の推移は次の通りです。
営業経費は次の通りです。
ARR
ARR(Annual revenue run-rate)の推移は次の通りです。
ARRとは
ARR(Annual revenue run-rate)は、以下を足し合わせて算出されます。
- 当月の月間経常収益(MRR:Monthly Recurring Revenue)×12(サブスクリプション収益を年間化)
- 店舗立ち上げサービスなどの非定期的なサービス収益を含む、過去12か月の戦略的テクノロジーパートナー、および非定期のプロフェッショナルサービスの収益
ACVが2,000ドル以上のアカウント数
年間契約額(ACV:Annual Contract Value)が2,000ドル以上のアカウント数の推移は次の通りです。
アカウントあたりの平均売上高
ARPA(Average Revenue per Account)の推移は次の通りです。
投資におけるリスク
主なリスクは以下となります。
気になるリスク
- プラットフォーム機能の大部分はGoogle CloudPlatformが運営するデータセンターホスティング施設から、顧客への補助的な機能はアマゾンウェブサービスが運営するデータセンターホスティング施設から提供されており、外部施設への依存度が高い。
- 中企業・大企業の顧客との販売サイクル(初期評価から契約締結)が長い。通常3か月から6か月だが、まれに12か月かかる。
その他の業績・参考サイト一覧
その他の業績・参考サイト一覧は次の記事にまとめています。 TradingView提供のBIGCチャート ビッグコマース・ホールディングス(BigCommerce Holdings ... 続きを見る
【米国株投資】ビッグコマース・ホールディングス(BigCommerce Holdings:BIGC) 決算・業績・参考サイト一覧
まとめ
今回はBigCommerceについて解説しました。
売上高、アカウント数が順調に伸びており、世界規模に拡張できるビジネスモデルなので、今後の成長が期待できそうです。