株式投資 銘柄分析

【米国株投資】ドアダッシュ(DoorDash, Inc.:DASH)について【IPO銘柄分析】

2021年5月17日

株式投資

今回はドアダッシュ(DoorDash, Inc.:DASH)について解説します。

DoorDashとは

DoorDashとは

出典:sec.gov

DoorDashは、DoorDashが開発するアプリを通じてレストランの料理などの宅配サービスを提供しています。

ビジネスモデル

配達人(Dasher)によりレストランなど(マーチャント)から消費者の自宅へ料理が宅配された際、マーチャントと消費者から手数料収益を獲得しています。

手数料の獲得事例

Economics of a Marketplace Order

出典:sec.gov

上図を元に、マーチャントや消費者から受け取る手数料の獲得事例を紹介します。

まず、消費者(CONSUMER)はDoorDashプラットフォームを通じて料理代金(税込み)・消費者手数料・チップを支払います。

マーチャント(MERCHANT)は、料理代金(税込み)からマーチャント手数料を差し引いた金額を受け取ります。

消費者手数料・マーチャント手数料の一部は配達人(DASHER)に支払われ、残りの部分はDoorDashの収益となります。

消費者から支払われたチップについては、配達人に全額支払われます。

その他の収益化手段

手数料収益以外に、以下のサービスでも収益化しています。

  • DashPass:消費者用のサブスクリプション製品(配達料無料サービス)から収益を獲得。2020年9月30日時点で500万人以上の登録者がいる。
  • Drive:ドアダッシュアプリ以外でのDasherによる配達サービスをマーチャントに提供。利用(消費者による注文)ごとにマーチャントに料金を請求。
  • マーチャントマーケティング:マーチャントが消費者にプロモーション割引を提供することで需要を創出できるようにする。注文ごとにマーケティング料金を徴収。
  • その他のマーチャントサービス:マーチャントの初期導入時のサポート(オンボーディングサービス)など。

DoorDashの顧客・パートナー

flywheel

出典:sec.gov

DoorDashの顧客・パートナーを紹介します。

マーチャント

TORCHYS-TACOS

出典:sec.gov

マーチャントとは、レストランなどの料理を提供する業者です。

レストラン以外でも、ウォルマート(Walmart)など食品や日用雑貨などを取り扱う会社とも提携しています。

2020年時点で39万以上のマーチャントがいます。

消費者

Consumer

出典:sec.gov

消費者は、配達人(Dasher)を通じてマーチャントが提供する料理を受け取る顧客です。

2020年時点で1,800万以上の消費者がいます。

「外出先での朝食の受け取り」「職場でのケータリングランチ」「食料品やディナーの配達」などのフードデリバリーサービスを利用できます。

会社設立時から2020年時点までの間に、DoorDashプラットフォームを通じて9億以上の注文がありました。

配達人

Dasher

出典:sec.gov

Dasherと呼ばれる配達人は、マーチャントが提供する料理を消費者に配達します。

完全出来高制で、配達するごとにDoorDashから収益を獲得します。

車だけでなく、自転車やスクーターで配達する選択もできます。

また、好きな場所・時間に働くことができます。

DoorDashのアプリでは、独自のアルゴリズムにより注文が多くなる場所・時間帯を予測して特定の場所・時間に何人のDasherが必要であるのかがわかるため、配達の無駄な時間を削減したり隙間時間で稼げます。

2020年時点で、100万以上の配達人がいます。

市場機会

2019年は、アメリカ人は食品・飲料に1.5兆ドルを費やし、そのうち6,500億ドルはレストランやその他の消費者向けフードサービスに費やされました。

米国の2019年の実績では、宅配・ドライブスルー・テイクアウトによるお持ち帰りの消費額が3,026億ドルでした。

一方、DoorDashのMarketplace GOV(Gross order volume:総注文額)は80億ドルであり、お持ち帰り市場(3,026億ドル)の3%未満の規模でした。

DoorDashの市場シェアが拡大する余地はまだまだありそうです。

DoorDashの事業の大部分は米国で行われていますが、カナダやオーストラリアでも事業を行っており、今後も国際的に事業を拡大していく予定です。

そして、今までマーチャントの大多数はレストランでしたが、「コンビニエンスストア」「食料雑貨店」「花屋」「薬局」などさまざまな商品を扱えるようにサービスを拡大しようとしています。

競合

DoorDashの競合には、以下の会社が含まれています。

  • Uber Eats
  • Grubhub
  • Postmates
  • Domino'sなどのピザ会社
  • その他、独自のオンライン注文プラットフォームを持つチェーン店等、配達サービスを提供する会社

米国のフードデリバリーサービスにおける2020年時点の市場シェアは、以下の通りDoorDashが半分を占めています。

share based on total sales

出典:sec.gov

2018年から2020年にかけて市場シェアが伸びた要因は、大都市圏以外の郊外市場でシェアを伸ばせたことです。

郊外では、大都市に比べて以下の特徴があります。

  • 家からレストランまでの距離が遠く、デリバリーサービスの需要が多い。
  • 消費者には家族が多く、注文ごとにより多くの料理が注文される。

郊外市場のシェアを58%獲得しているところがDoorDashの強みと言えます。

DoorDashの業績

DoorDashの業績を紹介します。

主要なビジネス指標

DoorDash独自の主要なビジネス指標は次の通りです。

Key Business and Non GAAP Metrics

出典:sec.gov

Total Orders(総注文数)は、DoorDashのプラットフォーム(マーケットプレイス、Drive)上で発生した全ての注文の数です。

Marketplace GOV(Gross order volume:総注文額)は、DoorDashマーケットプレイスでの注文(消費者手数料、税金、チップ含む)の合計金額です。

Marketplace GOVには、 DashPassの会費やPickup(自分で店に料理を取りに行く)・DoorDash for Workでの注文の金額を含みますが、DoorDashが注文の料金体系を管理できないDriveを通しての注文金額は含まれません。

Marketplace GOVを構成するその他の業績の比率は次のとおりです。

GOV Percentage

出典:sec.gov

2018~2020年度の業績

2018~2020年度の業績を紹介します。

損益計算書

損益計算書は次の通りです。

pl

出典:sec.gov

貸借対照表

貸借対照表は次の通りです。

(in millions, except share amounts which are reflected in thousands, and per share data)

bs

出典:sec.gov

キャッシュフロー

キャッシュフローは次の通りです。

(in millions)

cf

出典:sec.gov

投資におけるリスク

主なリスクは以下となります。

  • Uber Eats、Grubhubなどの競合他社が存在する。
  • 事業の成長はDoorDashのブランド力に依存している。過去にもセキュリティ違反による裁判も経験しており、想定以上の損害が出たりブランド力の低下が発生する可能性がある。
  • DoorDashプラットフォームはAndroid、iOSに部分的に依存している。また次のようなサードパーティのサービス・アプリケーションにも依存している:「Stripe」「Salesforce」「Twilio」「Wavefront」「Snowflake」「Olo」「Google Maps」「AWS」。

その他の業績・参考サイト一覧

その他の業績・参考サイト一覧は次の記事にまとめています。

まとめ

(DoorDash, Inc.:DASH)について解説しました。


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