今回は報連相のコツをプログラマー目線で解説します。
本記事の内容は、6年半の間プログラマー(Linuxアプリケーション開発)として働いてきた私が経験したことや上司から教わったことに基づいています。
報連相のコツ
具体例を交えながら、報連相のコツを一つずつ見ていきましょう。
報告
報告の目的は、相手が自分に対して求める(知りたがっている)情報を提供することです。
報告内容としては、例えばプロジェクトリーダーに対する作業の進捗状況やトラブルの原因・対策内容などを伝えることが当てはまります。
リーダーはリーダー自身の上司・課長・社長に対して、自身が管理するプロジェクトの状況(計画通り進んでいるか・赤字か黒字か)についての説明責任があります。
このため、プログラマーは現場の作業員として上記の説明に必要な情報をプロジェクトリーダーに提供(報告)する責任があるのです。
では、報告について詳しく見ていきましょう。
報告の伝え方
報告では、次のように「(目的)報告相手にしてもらいたいこと」→「(過去)行動したこと」→「(現在)ありのままの状況」→「(未来)今後の予定」の順番に伝えることがポイントです。
例1:トラブルの処置
- 目的:▲▲トラブルを解決するため、以下★★の対策を行います。確認いただき、問題があれば今日中にご指摘お願いします。
- 過去:(誰が、いつ、どこで、何を、どうして、どのようにして)●●をした。
- 現在:その結果、▲▲トラブルが発生している。
- 未来:明日、★★の対策をしてこのトラブルを解決し、始末書作成まで終える予定である。
例2:日報での進捗報告
- 目的:本日の進捗を報告します。確認いただき、問題があればご指摘お願いします。
- 過去:(私が、いつ、どこで、何を、どうして、どのようにして)●●をした。
- 現在:現在の進捗状況は◆◆である。問題点は特になし。
- 未来:計画に基いて引き続き作業を実施する。
(目的)報告相手にしてもらいたいこと
基本的には、報告内容が問題ないかを確認してもらうだけになります。
その報告内容を元に、相手側がさまざまなアクションをとるはずです。
例えば、「受け取った進捗状況を元に、プロジェクト全体の進捗状況を更新する」「受け取ったトラブルの原因・対策内容を元に、相手自身の上司に始末書を提出する」などです。
(過去)行動したこと
「5W1H」をベースに、行動したことを事実ベースで正確に伝えることが重要です。
(現在)ありのままの状況
現在の状況(事実)をありのままに伝えます。
(未来)今後の予定
報告内容の問題が解決している場合は今後の予定を記載する必要はありません。
しかし、報告内容の問題に対してまだ自分がアクションを取らなければならない場合は、その予定を記載します。
報告で重要なこと
相手が知りたがっている情報だけを伝えることが最も重要です。
例えば、進捗報告にしても、毎日進捗報告(日報)して欲しい人もいれば、週単位での報告(週報)でよいという人もいます。
極端な例で言えば、「納期までに納品物を納めてもらえれば進捗報告はいらない」といったケースも経験したことがあります。
基本的には相手から「××と〇〇を報告してほしい」と依頼がくるはずなので、相手のニーズに合わせた情報を提供することが重要です。
報告の種類
報告の種類は以下となります。
- 定期的な報告:進捗報告、日報
- 不定期での報告:バグやお客様トラブル発生、作業フローの改善案
上記のうち、不定期かつ緊急度が高い(トラブル発生など)ほど、できるだけ早く報告する方がよいです。
報告の優先度
報告の優先度は、トラブル発生などネガティブな情報ほど高くなり、計画通り進んでいるなどポジティブな情報ほど低くなります。
「ポジティブな情報」=「できて当たり前のこと」と言い換えることもできます。
例えば、計画通り進めるなどできて当たり前のことをプロジェクトリーダーに一生懸命報告しても、「それは当たり前です」という返答で終わり、時間が無駄になるだけです。
プロジェクトリーダーは、仕事を計画通り進める・前倒しで終わらせることを重要視しています。
このため、計画通り進まなくなるようなネガティブな情報は早く伝えるべきです。
ネガティブな情報を早めに伝えることで、プロジェクトリーダーはスケジュール管理がしやすくなります。
報告の粒度
報告の粒度は、トラブル発生や進捗遅れなどネガティブな情報ほど細かくし、計画通り進んでいるなどポジティブな情報ほど粗くすべきです。
ポジティブな情報は「ソフトウェア設計:進捗100%、プログラミング:進捗50%」というように概略だけで十分です。
一方、ネガティブな情報は、概略に加えて補足の説明(進捗遅れの理由・対策案など)も付け加えないと、上司やプロジェクトリーダーが不安になってしまいます。
連絡
連絡は、「情報の伝達」の意味合いが強いです。
このため、自分の意見を述べるというよりは、事実を正確に伝えることを最も重視すべきです。
連絡の伝え方
連絡では、次のように「(目的)連絡相手にしてもらいたいこと」→「(内容)連絡内容の詳細」の順番に伝えることがポイントです。
例
- 目的:以下の期間、▲▲エリアは工事のため、立ち入らないようにしてください。
- 内容:期間「××日〜○○日」、エリア「□□階の▲▲エリア」
相談
相談は、自分が相談相手から意見をもらい、自分や周りの問題を解決することを目的とします。
例えば、バグの修正方法やトラブルの対策案について意見をもらうことなどです。
報告と似ていますが、かならず相手の意見をもらう必要があり、相手の作業時間をより奪う行為とも言えます。
「相談」=「質問」と捉えることもできますが、相談の方がより複雑で難しい問題を解決する意味合いが強く、複数人での打ち合わせで解決する場合があります。
相談の伝え方
相談では、次のように「(目的)相談相手にしてもらいたいこと」→「(過去)調べたこと」→「(現在)現在の理解度」→「(未来)対策案」の順番に伝えることがポイントです。
例
- 目的:▲▲バグについて以下★★の対策案で対応して問題ないか悩んでいます。問題あるかどうか意見を聞きたいため、今日の□時に相談させていただけませんか。
- 過去:(私が、いつ、どこで、何を、どうして、どのようにして)●●を調べた。
- 現在:その結果、バグの原因を特定した。原因は◆◆である。
- 未来:★★と■■の2つの対策案のうち、★★の対策でバグを修正しようと考えている。
(目的)相談相手にしてもらいたいこと
相談相手にしてもらいたいことを自分の意見として伝えることが重要です。
(過去)調べたこと
「5W1H」をベースに、自分が調べたことを事実ベースで正確に伝えることが重要です。
(現在)現在の理解度
現在わかっていること(事実)をありのままに伝えます。
(未来)対策案
対策案をできれば複数用意し、それぞれのメリット・デメリット、そして自分の意見(どの案がよいか)を整理して伝えることがベストです。
重要なこと
私が経験した限り、目的と対策案がない相談は評価が下がります。
目的がない相談は、自己満足で誰の役にも立たないため時間の無駄です。
特にメールで複数人に報告する際、相談の目的が書かれていないと誰も動いてくれません。
また、対策案がなければ、相談相手に「対策案を考えるという他の人の仕事をなぜ自分がしないとダメなのか」と受け取られてしまいます。
相談のタイミング
基本的には、相談はできるだけ早めに行うのがベストです。
そして、大抵の場合、相談したい問題点は複数でてきます。
相談の仕方には2種類あります。
- 問題点を分解して一つずつ相談する
- 複数の問題点をまとめて一気に相談する
どちらの相談の仕方にもメリット・デメリットがあり、使い分けが必要となります。
それでは詳しく見ていきましょう。
問題点を分解して一つずつ相談する
自分の作業の効率を上げるために、相談内容を分解して近くの上司や同僚に都度相談をするパターンです。
自分で調べることは最小限にとどめ、できる限り相談相手から情報を引き出すことを目的とします。
一つずつ相談していくメリットは以下の通りです。
メリット
- 手戻り(無駄な考え事)のリスクが小さくなる(自分一人で悩む時間が少ないため)
- 一つの問題点がその場で解決できることが多い
一つずつ相談していくデメリットは以下の通りです。
デメリット
- 相手の仕事の時間や集中力を大きく奪うことが多い
- 複数回相談することになるので、相談相手が不在の時は待ち時間が発生する
- 効率を重視するあまり無駄な相談が増える場合がある
全ての問題点をまとめて一気に相談する
相談時間を限りなく短縮するために、時間をかけて問題点や問題の対策案などをまとめてから相談しにいくパターンです。
相談相手が忙しすぎる場合は、まとめて一気に相談することが多くなります。
問題点をまとめて相談するメリットは以下の通りです。
メリット
- 相手の仕事の時間をあまり奪わなくて済む
- まとめている間に自己解決して無駄な相談が減り、相談の質が上がる
問題点をまとめて相談するデメリットは以下の通りです。
デメリット
- 手戻り(無駄な考え事)のリスクが大きくなる
- 早めに相談していれば、何倍もの短い時間で解決できる場合がある
- 複数の問題点をその場で一気に解決できない場合が多い
相談内容を資料化する
相談内容をWordやExcelにまとめて相談することも有効です。
相談内容を資料化するメリットは以下の通りです。
メリット
- 問題点を複数人に共有でき、早く問題解決できる
- 相談内容が財産として残り、作業の引継ぎがしやすい
相談内容を資料化するデメリットは以下の通りです。
デメリット
- 資料をまとめる時間がかかる
- ハードディスクの容量上、全ての資料が財産として残るわけではない
報連相に共通する重要な点
報連相に共通する重要な点は、相手にどのような行動をとって欲しいかを伝えることです。
逆に言えば、報連相を受け取った相手が「で、何をすればいいの?」となるのが一番ダメなパターンです。
相手の立場になって報連相を続けていけばよいでしょう。
もっと大きな視点で見れば、企業の目的は「利益を生み出すこと」であるため、利益につながらない情報を報連相で伝えても時間の無駄とも言えます。
まとめ
報連相のコツについて解説しました。
まずは報連相の目的を決め、そこから内容を組み立てればよいでしょう。
紹介したコツを参考にして、ひたすら仕事で実践し続ければ、だんだんコツを掴めてきます。