今回はAffirmについて解説します。
目次
Affirmとは
Affirmは、後払いに特化した決済サービスを提供しています。
「すぐにお金を用意できないから購入をやめよう」と考えている消費者は、Affirmの決済サービスを使用することにより分割払いで商品の購入ができます。
2020年現在はアメリカとカナダを中心に事業を展開していますが、今後はさらに活動の場が広がる見通しです。
ビジネスモデル
出典:sec.gov
Affirmは、分割払い決済サービスで以下のオプションを用意して収益を得ています。
- 有利子ローン
- 0%APR支払いオプション
有利子ローンでは、複利にならない固定の利子を分割払い料金に上乗せして、消費者から収益を得ています。
0%APR支払いオプションを選べば、消費者は無利子で追加の費用がかかることなく分割払いができます。
Affirmの特徴としては、消費者が支払い漏れをしても、延滞料・複利などのペナルティを請求していないことです。
2012年の設立以来、一度も延滞料の請求は実施されませんでした。
そして、提携しているマーチャント(以下、販売業者と記述)からも手数料を得るビジネスモデルです。
Affirmと各販売業者との個々の取り決めに基づいて、販売業者から手数料を獲得しています。
また、ファイナンス商品の提供条件によっても異なります。
通常は、消費者の負担がない0%APR融資による決済サービスの提供により、販売業者からより多くの手数料を獲得します。
0%APR融資による収益は、2020年6月30日に終了した会計年度のGMV(後述)の43%、2020年9月30日から過去3か月間のGMVの46%を占めました。
この構造は、販売業者のAOV(平均注文額:Average Order Value)を向上させます。
顧客属性
消費者と販売業者の特徴を紹介します。
消費者
消費者属性は次のとおりです。
若いミレニアル世代とジェネレーションZ世代で全体の50%以上を占めています。
販売業者
出典:sec.gov
2020年9月30日時点で、6,500以上の販売業者と提携しています。
スポーツ用品やアウトドア、家具や家庭用品、旅行、アパレル、アクセサリー、家電、宝石など、さまざまな業界の販売業者がいます。
2020年時点の最大顧客はPeloton(ペロトン)であり、2020年6月30日に終了した会計年度の売上高の約28%、2020年9月30日から過去3か月間の売上高の約30%を占めました。
トップ10の販売業者を合わせると、2020年6月30日に終了した会計年度の売上高の約35%、2020年9月30日から過去3か月間の売上高の約37%を占めました。
サービスの利用例
航空チケットの購入をする場合を例にして、Affirmの決済サービスの利用手順を紹介します。
この例のケースでは、航空券の全額を前払いする代わりに、3・6・12・18か月に渡って分割払いを行うオプションが用意されています。
まずは、目的地や日付などを指定してフライトを検索します。
希望するフライトを選択します。
決済サービス選択画面に遷移するので、ここでAffirmを選択します。
「SECURE PAYMENT」ボタンを選択して次に進みます。
フライトの月払いプラン資格があるかどうかの信用調査をするために、複数の個人情報に回答します。
この信用調査は、Affirmがリアルタイムで行います。
信用調査を通過した場合、月額定額の分割払いで航空チケットを購入できるようになります。
Affirmの業績
出典:sec.gov
Affirmの業績を紹介します。
2019、2020年度の業績
2019、2020年度(7/1〜6/30)のそれぞれの業績を紹介します。
売上高
売上高は次の通りです。
2019年 | 2020年 |
2億6,436.7万ドル |
5億952.8万ドル |
営業利益
営業利益は次の通りです。
2019年 | 2020年 |
-1億2,744.1万ドル |
-1億779.0万ドル |
純利益
純利益は次の通りです。
2019年 | 2020年 |
-1億2,045.5万ドル |
-1億1,259.8万ドル |
EPS
EPSは次の通りです。
2019年 | 2020年 |
-0.73ドル | -0.23ドル |
Active Consumers
Active Consumersは次の通りです。
2019年 | 2020年 |
204.5万人 | 361.8万人 |
Active Consumersとは
過去12か月の期間中に、Affirmで少なくとも1回の商取引を実施した消費者
Transactions per Active Consumerは次の通りです。
2019年 | 2020年 |
2.0回 | 2.1回 |
Transactions per Active Consumerとは
過去12か月の期間中に、Active ConsumerがAffirmで実施した商取引の平均数
キャッシュフロー
キャッシュフローは次の通りです。
項目 | 2019年 | 2020年 |
営業キャッシュフロー | -8,764.9万ドル |
-7,130.2万ドル |
投資キャッシュフロー | -3億5,372.8万ドル | -2億5,307.3万ドル |
財務キャッシュフロー | 5億6,164.8万ドル |
2億9,473.2万ドル |
営業キャッシュフローマージンは次の通りです。
2019年 | 2020年 |
−33.1% | −13.9% |
四半期ごとの業績
四半期ごとの業績の推移を紹介します。
売上高
売上高(Total revenues)、および売上高を構成する各サービス売上高の推移は以下の通りです。
上図では、以下の項目が左から順に並んでいます。
- Merchant network revenue
- Virtual card network revenue
- Interest income
- Gain (loss) on sales of loans
- Servicing income
- Total revenues
Gross Merchandise Volume(GMV)
Gross Merchandise Volume(GMV)、およびContribution profitの推移は以下の通りです。
Gross Merchandise Volumeとは
消費者が購入した商品の売上合計額です。
期間中のAffirmでのすべての商取引の合計金額から払い戻し金額を差し引くことで算出されます。
Contribution profitとは
Contribution profit(貢献利益)は下図の通り、売上高から変動費と直接固定費を引いて算出されます。
出典:sec.gov
投資におけるリスク
主なリスクは以下となります。
気になるリスク
- 売上高の大部分(約30%)はPelotonに集中している
- さまざまな競合他社(PayPalやVisaなど)がいる
その他のリスク
- (COVID-19感染流行などにより)ローン未払い額の回収に悪影響がでる可能性がある
その他の業績・参考サイト一覧
その他の業績・参考サイト一覧は次の記事にまとめています。 TradingView提供のAFRMチャート アファーム・ホールディングス(Affirm Holdings:AFRM)の ... 続きを見る
【米国株投資】アファーム・ホールディングス(Affirm Holdings:AFRM) 決算・業績・参考サイト一覧
まとめ
今回はAffirmについて解説しました。
2020年12月時点で上場時期は未定です。
私自身は「株価が割安になれば購入しようかな」と考えています。