今回は、SDS法によるプレゼンテーション方法について解説します。
プレゼンテーションだけでなく、コミュニケーションで相手を納得させたい場合も有効です。
SDS法によるコミュニケーションの組み立て方
プレゼンテーションや会議を進行する立場の場合は、SDS法にもとづいて次のように話の内容を組み立てます。
- 概要(目的と要点)を話す
- 詳細を話す
- 概要に戻って話をまとめる
順番に見ていきましょう。
SDSとは
「SDS」とは以下の頭文字をつなぎ合わせた造語です。
- Summary:概要
- Details:詳細
- Summary:概要
①概要(目的と要点)を話す
まずは、プレゼンテーションの目的(ゴール)を話します。
例
【ビジネス案の提案】
私がビジネス案を提案しますので、問題がないかをみんなで精査した後、次のビジネスの内容を決めましょう。
プレゼンテーションの開催案内を出している時点で目的は伝えているはずなので、その内容を改めて話せば良いでしょう。
次に、Details(詳細)で話す内容の要点を話します。
要点を見つけ出すためには、詳細で話す内容を一つ一つ分解し、絶対に伝えたいポイントを探しだします。
そして、概要を話している段階で、先に詳細で話す内容の中で一番重要なポイントを言ってしまいましょう。
例
【ビジネス案の提案】
現在XX市場の需要が伸びているため、〇〇ビジネスをしたいと考えています。詳細はこれから説明します。
話し手の立場からすると、すでに説明する内容は理解している状態なので「概要をまとめるのはめんどくさいな」と思ってしまいがちです。
しかし、これらの一手間を加えることで、聞き手は話のゴールと話し手が伝えたいことがわかった状態でその後のプレゼンテーションに臨めるので、聞き手の理解度が上がるのです。
②詳細を話す
詳細は以下のポイントに気をつけながら話しましょう。
- 箇条書きで話す
- 事実と主張(推論)を区別して話す
箇条書きで話す
詳細の内容は長くなりがちです。
その場合は、目次を決めておいたり、以下のように内容を箇条書きに分解して説明する方がよいです。
〇〇ビジネスを成功させるにあたり、重要なポイントは3点あります。
1点目は★★、2点目は●●、3点目は▲▲です。
それぞれ詳しく説明します。
1点目の★★は・・・。
2点目の●●は・・・。
3点目の▲▲は・・・。
もう一度繰り返すと、〇〇ビジネスを成功させる重要なポイントの1点目は★★、2点目は●●、3点目は▲▲でした。
この中で一番重要なポイントは1点目の★★です。
こうすることで、聞き手側は
- 3つのポイントを覚えておこう
- 2点目について質問しようかな
というように、話の内容を言葉だけでなく構造的に記憶できます。
話し手への質問も「2点目について質問があります」と簡潔にできます。
話の内容を構造的に組み立てることで、「タンスの上から2番目の引き出しに入れている服」のように、聞き手は話の内容をより記憶しやすくなります。
事実と主張(推論)を区別して話す
詳細の内容は、基本的にデータ・数値を用いて客観的事実をベースに説明していけばよいです。
もし自分の主張(推論)を話したい場合は、その主張(推論)が事実でない可能性があることを伝えることがポイントです。
主張(推論)を伝える場合、説明の入り方としては次の通りにすればよいでしょう。
- 個人的な意見になりますが、〜〜(主張を話す)。
- ここからは私の推論となりますが、〜〜(主張を話す)。
自分の主張(推論)をあたかも事実のように伝えると、その主張(推論)が事実と違っていた場合に相手から「聞いていた話と違う!」とクレームがきてしまいます。
主張(推論)と事実はどちらを多く説明すべき?
主張(推論)と事実のどちらを多く説明すべきかは、プレゼンテーションの目的に応じてケースバイケースです。
全て客観的な事実を説明できればベストですが、現実的に不可能です。
以下のように、過去の経験を元に新たな提案を出したり、確率論で考えるべきことは、主張(推論)ベースでプレゼンテーション内容を組み立てましょう。
- 新たなビジネス案を提示する
- カイゼン案を提示する
- 作業工数の見積りを伝える
- 原因不明のトラブルの調査手順を提案する
- 株の投資先をどの会社にするのか提案する
主張(推論)の内容は、「おそらく(何%の確率で)、私の主張(推論)は客観的事実と一致する」と言い換えることもできます。
一方、以下のような報告を行う場合は、客観的な事実ベースでプレゼンテーションを組み立てないと相手に納得してもらえません。
- プロジェクト全体の進捗状況を報告する
- 「ソフトウェア不具合」や「不正会計」などのトラブルの原因を報告する
③概要に戻って話をまとめる
最後に、はじめの概要で話したプレゼンテーションの目的が達成されたかを確認しましょう。
例
【ビジネス案の提案】
今回私が提案したビジネス案について特に異論がありませんでしたので、次のビジネスは〇〇ビジネスを採用することになりました。
今後の予定が決まり次第、メールで連絡します。
重要なポイント
プレゼンテーションで重要となるのは、概要よりも詳細の内容を充実させることです。
Summary(概要)をキチンと伝えられなくても、わかりにくいところは話し手に聞けばだいたい解決します。
しかし、Details(詳細)の内容がスカスカだと、話し手が指摘事項を再調査しなければならず、プレゼンテーションがやり直しになってしまいます。
ビジネス案の提案などの主張をする場合でも、できる限り客観的な情報(数値・データ)を用意したり、指摘されそうな箇所をあらかじめ質問しておくなどをして準備しておくことがベストです。
以下のように、忙しい相手と簡潔にコミュニケーションをしたい場合は、結論を先に話して会話時間を短くする必要がありました。
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しかし、プレゼンテーションの場合、聞き手はじっくり話し手の内容を吟味したいと考えているので、詳細で説明する内容を充実させることに注力しなければならないのです。
まとめ
今回は、SDS法によるプレゼンテーション方法について解説しました。
ポイントは概要でプレゼンテーションの目的や要点を伝えた後、詳細を構造的に話していくことです。
はじめのうちは、話す内容を文章に書き出してプレゼンテーションに臨むのがよいでしょう。
プレゼンテーションが終わった後、うまく話せなかったところを見直していけば早く成長できます。