今回はnCinoについて解説します。
目次
nCinoとは
出典:sec.gov
nCinoは、金融機関のワークフローを改善するためのSaaS商品「nCino Bank Operating System」を提供しています。
nCino Bank Operating Systemの特徴
nCino Bank Operating Systemは、単一のマルチテナントクラウドプラットフォームであり、データ分析とAI / MLを利用して金融機関の非効率的で複雑なプロセスやワークフローをデジタル化、自動化、合理化する機能を提供しています。
マルチテナントとは
クラウド上で提供されるソフトウェア、データベースなどを複数の企業で共有すること。
このため、「金融機関の従業員」「商業、中小企業、小売業の各事業分野における顧客」「第三者団体」が一つのプラットフォーム上で繋がることができます。
第三者団体とは
第三者団体には、ブローカー、規制当局、弁護士、鑑定士などが含まれます。
結果として、組織のサイロ化を防いで組織全体で同じデータと情報を活用でき、事業の透明性が向上します。
また、金融業務におけるミッションクリティカルなワークフローを完了するために必要なすべての機能(以下参照)を提供しています。
nCino Applications
- 効率的な新規顧客の受け入れ
- 顧客のオンボーディング
- ローンの組成
- ローンのライフサイクル全体の管理
- 預金口座開設
nCino Platform
- 監査、分析、スナップショット機能をもつコンプライアンス・リスク管理ツールを提供
- 金融機関のフロント、ミドル、バックオフィスにおけるビジネスプロセスを自動化
- 企業の電子文書を管理
- 金融機関の顧客データを統合
nIQ
- 人工知能/機械学習(AI / ML)を利用して業務を自動化
- 光学式文字認識により書類をデータ化してローン組成期間を短縮
- 予測分析を活用した組織全体のパフォーマンス測定やリスクの監視、ローンの信用リスクとキャッシュフローの評価
ビジネスモデル
nCinoはサブスクリプションサービスとプロフェッショナルサービスから収益を得ています。
サブスクリプションサービス
サブスクリプションサービスでは、以下のサービスから収益を獲得しています。
サブスクリプション契約は、通常3年〜5年の契約に基づいて提供されます。
Salesforceとの関係
「nCino Bank Operating System」は、Salesforceプラットフォーム上に構築されています。
Salesforceとの契約に従い、nCinoが提供するサブスクリプション(ローン組成サービスなど)の価格にSalesforceプラットフォームに対するサブスクリプション分の料金を含めており、そのサブスクリプション料金をSalesforceに納めています。
代わりに、Salesforceは、ホスティングインフラストラクチャ、データセンター、およびSalesforceプラットフォーム内の設定(Configuration)、レポートなどの機能を提供します。
また、場合によっては、nCinoは「nCino Bank Operating System」とともに、SalesforceのCRMソリューションへのアクセスを再販(resell)することができます。
このサービスを顧客に提供する場合、より高いサブスクリプション価格を顧客に請求してサブスクリプション料金をSalesforceに納めます。
プロフェッショナルサービス
プロフェッショナルサービスでは、システムの導入(implementation)や設定(configuration)の支援、トレーニング、アドバイザリーサービスを提供しています。
企業や大規模な地域金融機関の場合、通常はSI(システムインテグレーター)と協力してシステムの導入(implementation)サービスの大部分を提供しています。
参入マーケット
世界中に28,000以上の金融機関が存在している金融市場に参入しています。
多くの金融機関は、テクノロジーに投資してデジタルトランスフォーメーションを進めています。
最も先進的な金融機関においては、最新の予測分析とAI / MLを採用し、直感や経験ベースではなくデータ駆動型の組織になりつつあります。
2019年に実施した調査結果に基づけば、「nCino Bank Operating System」のサービスが参入可能な市場は100億ドル以上と推定されます。
2020年時点では10か国で事業を展開しており、EMEAやAPACに事業拡大するために多額の投資を行っています。
北米は米国とカナダのオフィスで、APACはオーストラリアと日本のオフィスで、EMEAは英国のオフィスで販売活動をしています。
また、2020年時点では、120種類以上の言語と140種類以上の通貨をサポートしています。
nCinoの業績
nCinoの業績を紹介します。
過去3年間の業績
過去3年間の業績の推移を紹介します。
売上高・粗利益
売上高(Total revenues)、および粗利益(Gross profit)の推移は次の通りです。
売上原価の遷移は次の通りです。
営業利益・純利益
営業利益(Loss from operations)、および純利益(Net loss)の推移は次の通りです。
営業費用の遷移は次の通りです。
キャッシュフロー
営業キャッシュフロー(operating activities)、投資キャッシュフロー(investing activities)、財務キャッシュフロー(financing activities)の推移は次の通りです。
2020年の業績
2020年の四半期ごとの業績の推移を紹介します。
売上高・粗利益
売上高(Total revenues)、および粗利益(Gross profit)の推移は次の通りです。
売上原価の遷移は次の通りです。
営業利益・純利益
営業利益(Loss from operations)、および純利益(Net loss)の推移は次の通りです。
営業費用の遷移は次の通りです。
投資におけるリスク
主なリスクは以下となります。
気になるリスク
- nCino Bank Operating Systemは、Salesforceとの契約に基づいてSalesforceプラットフォーム上に構築されているため、契約が変更・終了するとnCinoのビジネスモデルに大きな影響が出る。
- nCinoはすべての収益を金融サービス業界の顧客から得ている。金融機関は経済の不確実性や規制強化などで大きな圧力を受けており、過去に金融機関が経験してきた失敗や会社の統合などが再発すると、nCinoの売上に悪影響が出る可能性がある。
その他の業績・参考サイト一覧
その他の業績・参考サイト一覧は次の記事にまとめています。 TradingView提供のNCNOチャート エヌシーノ(nCino:NCNO)の決算・業績・参考サイト一覧を紹介します ... 続きを見る
【米国株投資】エヌシーノ(nCino:NCNO) 決算・業績・参考サイト一覧
まとめ
今回はnCinoについて解説しました。
2020年7月に上場されてから2020年12月時点まで、株価は70ドル〜90ドル台を行ったり来たりしています。
nCinoはグローバルに事業展開を進めており、今後の成長もかなり期待できそうなので、投資対象としてもよさそうです。